葱と鴨。

文化系、ゲーム、映画、ジェンダー。

プロゲーマーの不幸エピソードを探す未来はいらない

甲子園の出場校が決まると、地元の新聞記者が何をするか知ってますか? 学校へ行ってこう聞きます。 「最近、親族がなくなった子はいませんか?」 これはオリンピックでも同じ。活躍した選手を報道しようとする時、まず選手の過去にあった挫折や不幸を探して…

国際大会でLJLチームに何を期待するか

ちょっと気が早いけど、WCSの話。 WCSやMSIが近づくと少し憂鬱になる、というのはLoLコミュニティの人には割と共感してもらえる気分だと思います。 それはLJLチームへの風当たりがキツくなって配信が荒れるからで、さらにその理由は国際大会で日本のチームが…

おひま

一週間ちょっと前からひまわりが2本家にいたのだけど、その片方が枯れた。まぁゆえあって花屋さんで切り花状態で買ってきたのでそんなに長いこと元気でいられるわけじゃないのは知ってたのだけど、それでも一週間も水をかえたり茎を切ったりと世話していたら…

性差別を内包した文化の今後~女子校、相撲、男女別で競う100m走~

お茶の水女子大の「性自認が女性のトランスジェンダー学生は、戸籍上男性でも受け入れる」という発表について、前に相撲からスタートした思考実験を置いておく。 ・たとえば相撲のような、根本に性差別を含む文化は今後も許容されるか →許容される。 宝塚や…

空虚な中心としてのスポーツ~想田和弘『ザ・ビッグハウス』~

それをとりまく人々が熱狂し、陶酔し、一体化し、無視し、嫌悪し、大金を投じ、人生を賭ける。 周囲の注目と熱量が高まれば高まるほど、その真ん中にあるアメフトの「空虚な中心」性が浮き彫りになる――。 想田和弘最新作『ザ・ビッグハウス』は、巨大産業で…

『万引き家族』 この世界の複雑さを伝えるには言葉の数が足りなすぎる

『万引き家族』がとてもよかった。 私はいつも映画を観たあとは、「これは○○についての映画だ」とまず一言にしてみることにしている。 そうすると、自分にとって映画のどこの部分が刺さって、何の文脈に乗せるかがいったん決まるから。 後から振り返って的外…

ダンジョンメーカーに3日で30時間もってかれて考えたこと

ダンジョンメーカー、本当に危険です。 金曜の夕方に落として、いま月曜夕方時点ですでに30時間ぐらいやってる。 仕事は? とか聞かれても口ごもるレベル。これを書くためになんとかスマホから手を放しました。 一度にできることが絞り込んであって、テンポ…

すべてのジャングラーに幸あれ

「また変更か」と嘆くジャングラーのみなさん、お元気ですか。 LoLのジャングルと言えば、不遇なロールの代名詞です。 レーンが不利になれば責められ、スマイト勝負に負ければなじられ、TopとBotから同時に「gank plz」と要求される。 その手の理不尽を体験…

極振りの誘惑

極振りというゲーム用語がある。 力や素早さのようなパラメータを自分で振り分けられるゲームで、どれか1つだけを集中的に伸ばすという意味だ。 メリットは力勝負、素早さ勝負みたいな特定の状況で必ず勝てること。 デメリットは、苦手な状況に対応できない…

LANパーティの立ち回り

ゲーマーとパリピって相性が悪そうに見えるけど、TwitchパーティやC4LAN(とその反応)を見ても、リアルで会って遊びたいっていう願望はゲーマーの半分くらいが持ってると思う。パーティーで実際にうまく立ち回れるかどうかは別の話として — 八木葱@eスポー…

Daraさんの引退に思うこと

Daraさんの引退やPENTAGRAMの在留カード問題についてあまり言及してこなかった人として、その理由といま思ってることをまとめてみます。 この問題に言及してこなかった理由はほぼ1つだけで、「何が起こったのかをわかっていないから」です。 LJLの発表、PGM…

PUBG、Fortniteが流行った理由を考える

日本でMOBAが流行らない理由という話が盛り上がっていたので、それはみんなに任せることにして、前から考えてた「世界でバトルロイヤルが流行った理由」についてまとめてみる。 私が知っているのはPUBGとFortniteで、特にバトロワの基本型に近いPUBGをイメー…

人気とはwikiの長さである

プロ選手の人気って、「wikiの長さ」だと最近は思ってます。 そんなことを考えはじめたきっかけは、あるプロゲーマーの一言でした。 「なんであんなに僕の名前出るんですかね」 たしかにその人は、配信やSNSで名前が出ることが多い人です。 もちろん全部がポ…

人生のピークはいつですか?

ロックバンドQueenの有名な曲の1つに『Don’t Stop Me Now』がある。 最初に聴いたのはたぶん高校生の時で、当時は「アップテンポの楽しい曲だな」くらいにしか思わなかった。 ところがこの間、ふとしたきっかけで聴きなおして驚いた。全く、全く違う曲に聴こ…

イーストウッドと情報の取捨選択。『15時17分、パリ行き』感想

テロリストを、同じ列車に乗り合わせた3人の男が取り押さえた。 『15時17分、パリ行き』は、一言でいえばそれだけの映画だ。 2015年に起きた高速鉄道のテロ事件を題材にしたクリント・イーストウッド監督のノンフィクション映画だが、映画の内容自体はいたっ…

ウメハラというアンビバレントな絶対神 ―ときどの涙とリビングザゲーム―

「ゲームの中でぐらいは勝ちたかったんですけど」 3月10日の『獣道』10本先取マッチでウメハラに敗れて、ときどは涙をこらえてそう言った。 ウメハラは「ゲーム以外全部(ときどが)勝ってると思うんですけど」とはぐらかしたが、ときどが何の話をしたか、ど…

「平坦な戦場でぼくらが生き延びること」は2018年にも切実な問いか。~『リバーズエッジ』について~

岡崎京子の話を2018年にするのは難しいなと思う。 『リバーズエッジ』の連載がはじまったのは1993年で、つまり阪神大震災も地下鉄サリン事件も起こっていない、インターネットもない時代だ。 その時代に岡崎京子が描いた高校生たちにとって、最大の関心は「…

ゲームが目的から手段に変わる時代に

ゲームってどういうものだっけ、という話が最近よく話題になる。 だいたいどれも、元を辿れば1つの「変化」にたどり着くと思うので、その話をしてみたい。 結論から言ってしまうと、色んな問題のきっかけになっている変化は「ゲームが目的から、手段になりつ…

物を捨てるのが怖くなる体験。~カオスラウンジ『百五〇年の孤独』感想~

カオスラウンジというアート集団が、『百五〇年の孤独』という展示をやっている。 とても射程の長い印象的な作品で、日常レベルでも「物を捨てるのが怖くなる」という変化があったので、その話をしてみたい。 まずこの展示を簡単に説明しよう。 江戸時代が終…

直接対決型のゲームとハイスコア型のゲーム。

「Awesome Games Done Quick」って見ましたか? ゲームの最速クリアを競うRTA(リアルタイムアタック)というジャンルのイベントで、たとえば初代『スーパーマリオブラザーズ』を5分以下で8-4までクリアするような、そういうチャレンジをいろんなゲームです…

ディズニーは、完全に本気だ~『スターウォーズ/最後のジェダイ』感想~

ネタばれをおおいに含みます。ご注意ください。 『スターウォーズ/最後のジェダイ』は、ここ数年ディズニーが掲げていた「女性をエンパワーしよう」というキャンペーンをさらに一歩進めたものだった。 その方法は強烈で、どのくらいかというと、私はエヴァン…

2017年に書いたもの

そんなに本数があるわけでもないのだけど、一覧で見られる場所がなくて自分でも不便だったので。 【League of Legend Japan League(LJL)】 Summer YutoriMoyasiは、LJLを背負ってWCSに向かうのだ。 NoAはマイペースな完璧主義者? 口癖は思考のクセ~Ceros…

Twitchがゲーマー文化をすっかり塗りかえてしまう前に

100人のゲーマーがいるとする。 (1) 1人がゲームをプレーし、99人がその配信を見ている。 (2) 100人がゲームをプレーし、中には配信している人もいるが、視聴者は0人。 2つの状況のうち、「ゲーマー文化」にとって望ましいのはどっちだろうか。 ゲーマー文化…

プロゲーマーのライセンス制度が炎上したのは名前のせい

プロゲーマーライセンス制度、炎上しています。 スト5で活躍するももちさんに「なぜ新設される予定の団体に“プロを定義する”資格があるのか」とまっとうな指摘をされ、(日本国内におけるプロゲーマーのライセンス制度について | 株式会社 忍ism(シノビズム…

虚淵殺すにゃ刃物はいらぬ、大手の配給つけりゃいい。~『GODZILLA 怪獣惑星』感想~

『GODZILLA 怪獣惑星』を観てきた。アニゴジ、というやつだ。 何かを観にいった映画館で予告編が始まった時は「ゴジラのアニメ化かー」ぐらいに思ったのだけど、脚本・虚淵玄という文字に目が止まって観にいくことにした。 ただ残念ながら、アニメ版ゴジラは…

BLへの期待を手放すまで

BLが趣味の1つだった時期、というのがある。 乙女ロードで時に怪訝な表情をされ、時には露骨に煙たがられながら漫画を探していたのも今となってはいい思い出だ。 私がBLを好きになっていった理由は「男らしさ、女らしさが息苦しかったから」だ。たぶん、割と…

日本のeスポーツにヤンキー化以外の道はあるんだろうか

日本のeスポーツシーンについてずっと気になっていることがあるので、その話。たとえばこんな場面、見たことありませんか。 観客を煽ってコール&レスポンスをする会場の端から端へウェーブを作る試合の合間の時間にHIPHOPのライブが入る司会者が外見、ノリ…

コミュニケーションのコストって結局下がってるの?

対面から始まって、電話、ファックス、メール、LINE、それにSNSと、「コミュニケーションのコストを下げたい」というのは多分おおくの人の悲願だったんだと思う。 気まずい話はもちろん、楽しい話でも直接言うのはやっぱり面倒で、反応も読めないし、まして…

『君の名は。』 自分の人生は自分で決めたいけれど、運命的にあらかじめ決まっていて欲しい、という両立不可能な願望

新海誠と細田守。 よく同じ括りで取り上げられる2人だけど、『君の名は。』を観て、これは新海誠による「自分は細田守のようにならない」という宣言だと理解したので、その話をしたい。ネタバレを含みます。 『君の名は。』の基本的な物語構造は、「偶然に満…

「○○は好きだけど、○○が好きだという人は苦手問題」が解決しました。

見出しは大きく、内容は小さく。 正確には「雨宮まみは好きだけど、雨宮まみを好きだという人には身構えてしまう」という個人的に懸案だった問題が解決した、ということです。結論としては「雨宮まみの文章は好きだけど、雨宮まみ本人は別に好きじゃないし、…