葱と鴨。

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ガレンの片思いが決して実らない理由

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ガレンを愛するみなさんこんにちは。

ガレンといえばJustice、そして移動速度。

LoLにおいて爆発的な移動速度が欲しいチャンピオンが何をするかというと、大抵はライチャスグローリーを買う。

しかしご存知の通り、ガレンはこのアイテムを買わない。というかほぼ買えない。ライチャスグローリーに含まれるマナが、マナを持たないガレンにとって完全に無駄になるからだ。

なぜライアットはこんなにも無慈悲なことをしたのか。移動速度に対して強烈な憧れを持つガレンが、ライチャスグローリーを買えないだなんて……。

 

この皮肉な状況には、実は理由がある。

それが、ガレンのもう1つの代名詞である「Justice」と「Righteous=ライチャス」という2つの言葉の微妙な関係性だ。

 

ガレンのJusticeと、ライチャス・グローリーのRighteous。

この2つの単語はどちらも「正義」と訳されるが、その正義の内容はかなり違う。

 

Justiceは「法に基づく正義」

Righteousは「人道的な正しさ」

 

何が違うんだろう……という反応がほとんどだと思う。この2つの違いを理解するには、「違法だけど正しい」ものの存在を考えるのがわかりやすい。

 

たとえば杉原千畝

言わずと知れた第2次世界大戦中の外交官で、ドイツ占領下のポーランドから逃亡してきたユダヤ系難民に対して、独断でビザを発給して2000人以上の命を救った世界的有名人。

実はこの時、日本政府は特例でのビザ発給を認めず、既存のルールを守れの一点張りだった。つまり上司の命令に違反した杉原の行動は、公務員としても外交官としても間違いなく「違法」な部分を含んでいる。

では彼の行動は正しくなかったのかというと、そこはやはり正しかったというほかない。つまり「違法だけど正しい」行為だったわけだ。

 

バスティーユ牢獄の襲撃から始まるフランス革命なんかも、「当時としては明らかに違法行為だが後世から見ると正しかった」ことになっている典型だろう。



論理的順序からいって、法に基づく正義であるJusticeは、その法を支える一回り大きな正しさ≒Righteousの縮小版でしかない。

JusticeにとってのRighteousは、憧れているのに決して手が届かない存在なのだ。

 

ここで話はようやくガレンに戻ってくる。

ガレンが移動速度に強く憧れているのに、自分にない要素(マナ)がネックになってライチャスグローリーに手が出せない。その構図はまるで、

法に基づく正義を追究するJusticeが「少しはあなたに近づけましたか?」とキラキラした目で聞いたら、「憧れは理解から最も遠い感情だよ」とRighteousに突き放されるような、なんとも切ない関係性とそっくりなのだ。

 

ということでJusticeの人・ガレンとライチャスグローリーの相性が悪いのは、名前の時点で決まっていた悲しい運命ということになる。

 

そして絶望の淵に沈んだガレンはプレデターというダークサイドに向かって歩きだすことになるわけだが……、その話はまた別の機会に。