ゲーミング腕組みについて1日考えたこと
そろそろ日本のesportsシーンにおける舞台上の強制腕組みシステムやめませんか。
— 岸大河 / Taiga Kishi (@StanSmith_jp) May 22, 2019
岸さんのこのツイートからはじまった「ゲーミング腕組み」の話を朝から1日考えてました。
結論は「腕組みあたりで手を打っておくのもアリだと思う」という、我ながら意外なところに落ち着きました。そこまでの過程をまとめてみます。
eスポーツイベントの選手入場で片方のチームが入ってきた後に、もう片方のチームを待つ間とかによく発生するんですけど、壇上に1分くらい立ってる時間って選手にしてみれば相当そわそわする代物です。
そして運営がそれをごまかすために「腕組みで統一」ってなるのは、落とし所としてすごいよくわかるんですよね。
もちろん、岸さんの「腕組み強制はクールじゃない」っていうのも100%同意します。
だけどたぶん、別に誰かが腕組みを強制したがってるわけじゃなくて、ぶらっと立ってるのは絵的に厳しいし腕組みでもしてもらう? っていう消極的な理由がほとんどなんだと思います。
選択肢自体は実はいくつかある
で、「選手の全身をちゃんとお客さんに見せる時間≒立ってる時間」が必要だと仮定すると、選択肢はいくつかあります。
・ぶらぶらしてもいいから自由にする
・ポーズを統一する→ex.直立、前で手を重ねる、後ろ手に構える、ポケットイン、腕組み
・手持ちぶさたにならないように、持ち物を用意する。ex.コントローラー、チームの旗、ゲームキャラの人形、FIFAならサッカーボールとか
結構選択肢があるように見えて、ここで考えておく必要があるのが文化の話です。
これからeスポーツの「部活化・体育文化化」は確実に進んでいきます。たぶんもう避けられないでしょう。
その時に高校野球っぽい所作を求める声が出てくる可能性はあって、たとえば、直立不動、深いおじぎ、大声で挨拶、校歌斉唱、みたいなのが忍び込んでくることを私は結構本気で心配してます。
坊主頭って言い出す人はさすがにいなそうだけど、「派手な喜び方は相手に失礼だから自粛」とか「ユニフォームはシャツインで」とか、そのぐらいは全然ありそう。
LoLの話ですけど、この間までやってたMSIっていう国際大会の決勝直前に、ヨーロッパ代表チームの選手が「史上最速で終わらせてやるぜ(意訳)」っていうツイートをしました。ファンは大盛り上がりです。
これ、日本だったら多分かなり反発が出ます。というか、反発を心配してそもそもそういう発言はしません。「部活化・体育文化化」の圧は、日本のeスポーツシーンにすでにかなり強くかかってるんです。完全なプロですらそうなのに、高校生年代の大会とかになったらさらに圧は強まります。
つまり、「礼儀正しく高校生らしくちゃんとやろう」みたいな声が出てきた時に、「いや、eスポーツは自由な文化なので」っていうのは多分通用しないでしょう。
分厚いストリートカルチャーを持つスノーボードですら負けました。eスポーツが文化闘争に勝てる見込みは限りなく薄いです。
それは極端に言うと、高校生eスポーツの大会で、選手が小走りで入ってきて、大声で「よろしくお願いします!!」って叫んで深く礼をして、勝った方が校歌を歌うっていうことです。正直、私は拒否感がすごいです。
それならいっそ「ゲームは腕組みするのが文化なので」っていうあたりで手を打って、先回りして落とし所を作っておく作戦もアリなのでは、というのが1日かけてたどり着いた結論でした。
eスポーツにゴリゴリの体育会系になってほしくない
もちろん、持ち物を用意するのも有望な方法だと思います。
手もちぶさたも解消されるし、そのゲームならではの雰囲気になるし、人形やイラストの描かれた旗とかなら単純にかわいいし。サッカーみたいに、小さい子と手つないで出てくるのもアリでしょう。PCゲームやスマホゲームは難しいけど、格闘ゲームならアケコンやコントローラーでも良さそうです。
でもそれらはコストもかかるし、ゲームによって持ち物が違うので汎用性が低いです。人形は体育文化化の過程で却下される可能性もあります。
それなら、基本は腕組み+場合によって旗、ぐらいを先に定型化しておくのは案外悪い手じゃないと思うんです。
スポーツってもともと定型化・様式美と相性がいいジャンルで、現在の日本で最強の様式美は甲子園と箱根駅伝とサッカー代表戦です。つまり強い意志を持って意識的に文化を作らないと、そっちに引っ張られます。
私は個人的に、eスポーツはゴリゴリの体育会系になってほしくないんです。
そのために「日本のeスポーツはこの形なんだよ」っていう型を先に作っておきたい。別に腕組みである必要は全然ないけど、現時点でそこそこ普及してて、「ゲーミング腕組み」ってネタにして笑えるぐらいには受け入れられてるなら、もうそれでいいことにする手はあるよ、と思いました。
入場した選手がどういうポーズで立つか自体は小さな話ですが、これはeスポーツっていう文化を作る大きな話の一部なんです。
ともあれこれはゴール設定も方法論も人によって全く違う問題だと思うので、色んな人の考えを見ながらしばらく考えてみようと思ってます。
昔書いた関係ありそうな話も貼っておきますね。