葱と鴨。

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LJLのコールは「応援団問題」です

LJL会場でのコールがちょっと話題になってました。

これはプロ野球Jリーグで続いてきた「応援団問題」の一環で、得意分野なのでモデルケースを紹介しつつ私の考えをまとめます。

 

結論から書いておくと、私はLJLでの一体型コールについて現時点では慎重派です。その理由を説明します。

 

 

まず、「応援を統一した方が盛り上がって楽しい」という価値観と「一体感を強要されてる感じがして嫌だ」という価値観は、どちらも正当なものです。

どちらかが正しくてどちらかが間違ってるわけではないので、この話に悪役は登場しません。一体感を感じるのが好きか、そうでないかが違うだけです。

 

この問題を野球やサッカーではどうしてるかというと、外野席(野球)やゴール裏(サッカー)のような「一体感を求める応援団のための場所」を半ば公式で作って、住み分けをしています。

 

ポイントは「応援団の人を悪い席、競技が見にくい席に集めている」ことです。

応援団が周囲に与えるプレッシャーは大きいです。近くで相手チームのユニフォームを着ることはおろか、立たずに座って見ているだけでも居心地が悪いことが多いです。埼スタのゴール裏とか圧がやばいです。

しかもこの居心地の悪さは、応援団が周囲に一体感を強制する意志がなくても発生します。だからこそ、試合が見にくいかわりに派手に応援できる席を作って「カタギのお客さんには迷惑かけるなよ」という風にしているわけです。

 

そして、現在のLJL会場では住み分けができません。今の状況で応援団的なスタイルを進めれば、一体感を強要される感じがして嫌だというお客さんの居心地が悪くなるのは避けられません。今回出たネガティブな反応はその一部でしょう。

 

一体感はたしかに気持ちいいです。でも、その一体感が苦手な人は一定数います。

私自身がカラオケで歌ったりフェスで踊ったりするのが苦手なタイプなので、その人たちの気持ちはよく分かります。声出せ、って言われてる感じが苦手なんですよね。そしてそういう人の割合は、野球やサッカー以上に多いと思います。

 

なので現時点での私の立場は、LJLでの一体型コール慎重派になります。

 

もちろん、「コールがあった方が楽しいんじゃない?」と考えて実行に移した人たちに悪いところは1つもありません。落ち度もないし、悪意もないです。そこは誤解しないでください。個人への攻撃は全面的に反対します。

関係性としても、ファイナルでコールを担当されていた方の1人とは面識があり、決して「応援を仕切ってやろう」とか「こっちの思い通りやれ」というタイプじゃないことを知っています。良識的で、話していて楽しいチャーミングな人です。

もう1人の方もSNSではよく見かけていて、こちらも仕切りたがりというタイプではないと思ってます。

 

でも一体的な応援スタイルが周囲に与える圧は想像以上に強いです。なので、静かに見たい人に「それに乗らなくても大丈夫だ」という感情的安全を確保する責任は、運営または応援団側が負うのが望ましいと思います。そして今の環境では、その確保はかなり難しいでしょう。

 

応援ボードの配布や試合中に誰かが叫ぶ形で自然に起こるチームコールは私はとても好きです。でも全体を人為的に動員する形でのコールはぜひ慎重に進めてほしいと思ってます。

 

応援団という存在にはメリットとデメリットがあって、野球やサッカーは長いトラブルの歴史を経て「応援団側がかなり意識的に気をつかって住み分ける」今の形にたどり着いています。この考え方は、LJLでも有効だと考えます。

 

なんにせよ最終的に方向性を決めるのは運営です。

いつかコールをしたい人は思う存分コールができて、それが苦手な人は安心して静かに試合を見られるような環境ができることを願っています。plz riot!